神社と日本酒

聖地巡盃コラム 第四講

松尾大社に聞く【前編】 -神社と日本酒、なくてはならない間柄-

松尾大社に聞く -神社と日本酒、なくてはならない間柄-

お酒の神様なら、まず松尾大社さん。そうは言っても、まさかお話を伺うことができるとは、思いもよりませんでした。ご対応戴いたのは、「松尾大社」宣揚課・西村伴雄さん。一般企業で言えば、広報に当たります。非常に楽しく丁寧にお話していただきました。

まずは冒頭から、地域と神社と酒蔵の関係を広く知って日本酒に親しんでほしいという「聖地巡盃」について。どのように思われているのか、気になるところから、伺いました。

「面白い企画ですよね。その土地の神様と酒蔵さんを併せて紹介していくことで、神社と酒蔵がいかに深い結びつきを持っているか、さらには、日本酒というものがただ単に自分たちが飲む嗜好品ではなく、日本の文化であるということが分かってもらえると思います。

日本酒の歴史は、神様を祀るという中で培われて来たものであるということ、単なる飲物ではない、というところを分かっていただければ、日本酒に対する見方が、変わるんじゃないでしょうか」

神泉 亀の井しかし、酒蔵が神様を語ることはあっても、神社からお酒や酒蔵を語る機会はほとんどないと思われます。今回は、その辺りをたっぷり伺いました。

「日本酒というものが、ウィスキーやワイン、ビールなどと並ぶ嗜好品の一つとなっているのが現実ですね。日本酒が日本人にとって特別なものだと、みなさんは思っておられないんじゃないでしょうか。

しかし、実は、神社とお酒は、本当に切り離せないものなのです。

今、我々が『神社神道』あるいは、一般的に『神道』と呼んでいるものの最も根本となることはなにかというと、稲作の農耕儀礼なんです。日本の神社で行われるお祭りの、一番大きなお祭りは3つあり、1つ目が例祭。これは神社ができた記念の日です。2つ目が祈年祭。春に苗を植える前に豊作を祈るもの。そして、新嘗祭。採れたお米をご神前にお供えして、感謝する。ということは、一貫して、稲が、お米が豊作でありますようにということを祈る、それが、根幹になっているわけですね。

ですから、お米が一番重要なもの。主食であり、言ってみれば生きていく源です。だから、一言で言うと、『お米がたくさん穫れますように』と祈るところが、神社なんです。そして、そのお米で造ったものがお餅であり、お酒であり……。今度はこれらが神様に対する一番重要なお供え物になるわけです。お米というのは神様からいただいたもの。それを食して次の年まで命が長らえる。神様にも採れたお米と、それで造ったお酒とお餅をお供えして、感謝の気持ちを神様に分かってもらうわけです」

お米から変化した、固体と液体ですね。

お酒の資料館 外観「お祭りでは、お酒がなかったら成り立たないんです。神事の後には必ず、直会(なおらい)という儀式があって、その時に、『神人共食』と言って、お供えしたお米やお酒を下げ、神様と共にその場で戴きます。そのことによって神様の力を自分たちの中に取り込む、力をいただくわけです。お米のことを単に『チカラ』と言いますよね。『力うどん』などの『力』はお米で作ったお餅そのものが『チカラ』だからなんです。お米を食べること、それが人間の力になるということなのです。そして、その力は神様からいただくもの。お祭りでは、直会までが重要な儀式なんです」

そこから、お酒と神社の歴史的な関わりに話は移りました。

「昔は、基本的には、神社でお酒を造っていたんです。やがて、専門に造る人たちが出て来ると委託するようになり、それらが酒造りの専門職になっていくわけです。

けれども、お酒は腐りやすいものです。低温殺菌で熱処理をして発酵を止める技術が発見されたのは、フランスのパスツールより400年も早い室町時代なのですが、これはまだ特殊な技術でした。言ってみれば門外不出。近畿地方の大手の蔵など、ある程度は知っていて活用していたのですが、それ以外では江戸時代まで、普及していないんです。

そうなると、お祭りに合わせて、お祭りごとにお酒を造らなければなりません。しかも、それは長持しないわけですから、近場=同じ村の中に造ってくれるところが必要となる。そこで、各村々には造り酒屋ができたわけです。そして、余った分を売っていた。全国に神社が無数にあるわけですから、それに合わせて、酒を造ってくれる人たちがそばにいたわけです。それがすなわち、各村や町に造り酒屋があった理由。その土地で穫れた米でその土地の酒蔵が酒を造って神社に納める。そういった背景を見ても分かる通り、神社にとって酒蔵は欠かせない存在なわけです。 今でも、お祭りに合せて境内で、昔ながらの造り方でお酒を造っているところはいくつかあるんですよ」

今も祭礼のために自分たちでお酒を造っている神社があるんですね。いずれ、そちらもご紹介できれば、と思います。


次回は、いよいよ、松尾大社さんと酒蔵との深~い関係です。

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